WINNEBAGO MAN



松島×町山未公開映画を見るTV
http://www.matsumachi.com/

引用始め

「WINNEBAGO MAN」2009年アメリ
キャンピングカーで知られるウィニベーゴ社の宣伝ビデオで汚い言葉を吐くセールスマンのジャック・レブニー。本来カットされたこの映像が、YouTubeなどで流出し、話題を集める。このレブリーという男は一体何者なのか? そして今、彼はどこにいるのか…?

引用終わり


未公開映画を見るTVで一番好きな映画。
番組は東京ローカルでビデオもまだ出ていないし、YouTubeでも動画が流れていないので言葉で紹介したい。



引用より続き、
世界一怒る男を探し始めた監督のベンは、ビデオのエンドクレジットから撮影クルーをわりだし、関係者に話を聞いた。
ビデオはウェネベーゴから広告代理店に制作依頼されたものだとわかる。
しかし、ライバルの策略により未編集のNG集のビデオをばらまかれ、その評価でジャックは会社を解雇されていたのだ。



小さなきっかけから、ベンはついにジャックを見つけ出す。
ジャックはカリフォルニアの山奥で世捨て人のように生きていた。
20年間山奥で湖の管理人として生き、残りの時間を悠々自適に過ごしていた。
ウェネベーゴのビデオは若気の至りだと言い、なんとも思っていないと語った。
世界一怒る男の真実は、ただの温厚な老人だったのだ。
あまりにあっけない真実にベンは落胆した。



だが後日、ジャックから電話がかかってきた。
演技だったのだ。温厚な老人を演じ 怒る男の汚名を晴らそうとしたのだ。
ジャックはいまだ全てに怒っていた。そしてビデオをばら撒いた者、それを見て笑っている者を憎んでいたのだ。
ジャックはアメリカの現状全てを憂い、それを正すために自分の考えを世に知らしめたいと思っていた。
若かりし頃のジャックはCBSのジャーナリスト、報道ディレクターだった。
ジャーナリズムの使命に徹し、客観的な報道、視聴者へ真実を伝えるように力を注いだ。
ウェネベーゴの宣伝ビデオの完成版に映るジャックは、輝かしい経歴と実力を持った報道マンだったのだ。



ベンは考えた。ジャックの主張はベンにとってどうでもいいことだったが、彼の汚名を返上したい、彼の世間を憎む偏見を和らげたいと。
ベンはジャックの評論をYouTubeへ投稿し、世間へ呼びかけようと提案するが、ウェネベーゴのビデオを見て笑うようなやつらに話かけるのは不可能だと断られる。
ベンの色々な画策も、利口なジャックは全て無意味だと言った、そんな事をしても何も意味がないと。
ジャックはアメリカの悪、嘘偽り、不勉強な国民、全てに不信感を抱いていたのだ。



ジャックをウェネベーゴのビデオのファンにあわせる事にした。
彼の憧れの地 サンフランシスコでのイベントにジャックを連れて行くのだ。
YouTubeを見て笑う程度の低いやつらに、自分の事が理解出来るのだろうか? 不安と期待を抱きながらイベントにゲスト出演するジャック。
だが彼を待っていたのは、われんばかりの歓声と賞賛の声だった。
上映されたウェネベーゴのビデオを見て 彼自身を笑うものなどいなかった。そして彼が話すたびに観客は歓声をあげ喜んだ。
ジャックは誰にも笑い者にされてなどいないと気付く、あんなビデオを見て喜ぶ事自体は理解に苦しむものの、自分のビデオで多くの人が癒され、勇気づけられていたことを理解したのだ。
観客達も 怒る男ジャックの真の姿を見た。口の悪い 偏屈で でも愛すべきおじいさんだったのだと。



ジャックは真の愛国者であった。その主張は祖国を愛するもの そのものの言葉だった。
だが世間は彼に政治主張を求めなかった。ジャックはそれも不満だったが、多くの人の愛を感じた今、素直に生きてきた自分の幸福を喜んだ。


===
説明が下手くそすぎて全く伝わらないと思うので、ビデオが出た際にはぜひ見て欲しい。
意思を伝える事の難しさと、ほんの小さなきっかけから呪われた心が解放されることが描かれている。
あきらめないことや、愛や、信頼が笑われるような世界になってしまった。そしてそれを命がけで伝えることすら愚かしいと思われている。
一心に思い、変革を願い、絶望した老人と、その呪われた心を救った親友たち。
それはいつの日か、聞き逃されてきた老人の声を世界に届けるための手助けに変わるだろう。
アプローチを変えても、本質を見失わない限り、いつか心は伝わるのだ。