ビッグコミックス 西原理恵子ぼくんち(全)」をよんだ
昔の日本の スラムのような町に住む 少年と兄ちゃんと姉ちゃんと その周りの人のお話
嘘と暴力と性と 人間の欲望のごった煮の世界で 苦しみ喘ぎながら何も出来ず生きてゆく
人間の心にはいつの時代も差別があって それはグレードの高い人にも低い人にもある
グレードの低い人も さらに低い人を食い物にして 自分自身の目的を果たすために行動する
法律や秩序なんて何の意味も無く ただ自分が良いと思うか悪いと思うかで物事が決まる
そこに住むすべての人はろくでもない者達で ろくな人間は花が咲く前に死ぬかそこから居なくなる
夢や希望があっても そんなもの腹の足しにもならないからそれ以上考えない
ぼくんちの中で描かれる人々の行動は とてもじゃないけど現代日本において信じられない事ばかりだと思う
でもそれは日本の過去の真実で 今もそれが変わらず続いている場所がある
ぼくんちはフィクションと言う形をとっているけど あらかた真実で 昔 そういう人達がいて 今も生きている事を教えてくれる
最近強く考える 人が生きていって 幸せになるってどういうことだろう?
世界を見渡して見たら みんなみんな自分勝手だって思う
自分のほんの少しの喜びの為に 精一杯人の足を引っ張っても それで満足に生きてゆければいい
人から奪っても 人を騙しても 人を殺しても
友人でも 師匠でも 兄弟でも 親でも 自分の幸せの為になら奪い取って それでも満足ならいい
でもいつか どんな悪党でも気付く 人間は一人では生きてゆけないんだってことに
そして生まれる前に離れた肉親を求め 自分の殺した兄弟の事を悔やみ 考える
自分が破壊し続けていた他人の愛を 今度は自分が与えてやりたいと考える
でも結局 自分自身はそうやっていく事は無理だ 人から奪って生きてゆくしかないと言う事にも気付いてしまうんだ
何も無い人間は人に与える事なんて出来ない それに人に何かを与え続けて生きてゆく事なんて誰にもできやしない
食べる為には 生き物を殺さなきゃいけない 何かを得る為には 自分がその罪を支払わなければいけないのだから
罪も無いままでは 金も食べ物もそして幸せだって手にはいれられない
僕達は大きな罪の上に立って生きている 生きている事が罪なんだ


みんな 目の前の真実に目が回ってしまって 肝心な事を忘れてしまった
幸せって事は 相対的なモノではなく 客観的なモノでもない 自分自身が感じる感情なのだから その基準は自分自身で決める事が出来る
どんなに裕福でも幸せを感じなければ不幸 逆にどんなに悲しい人生でも 強く何かを信じ求めれれば それは幸福なのかもしれない
僕は罪深くても 悲しくても どんな人間にも幸せは平等に来てるんじゃないか と思う
ただそれに気付けるか 駄目かってだけなんだ 今日が駄目でも明日はどうだろう?
幸せはいつもそばにいるんだ ちょっとだけ不幸の方が目立って見えてしまうから気付けないんだ


ぼくんち 劇中にこんな台詞がある
「悪い話はいつも真っ先に来るのに いい話は一番後にやってくるんだ」
きっとそうだ そのとおりだ 今は苦しいけど悲しいけど この暗いトンネルを抜けてゆこう
太陽の光が差し込めば そこにいつもいた幸せが 自然と見えてくるんじゃないだろうか?
だから僕らは その見つけられるはずの幸せを無駄にしてしまわぬよう それまでは精一杯生きてゆこう
それが駄目だったらまた考えよう 諦めないで 自分自身に負けないで…