お気の毒に、

迷宮に迷い込んだ。
ここで私は生まれたはずなのに、ここは私の居るべきところではないと思っていた。
どうにも理解できず、どうにも馴染めなかった…
…しかし眺めていたら、みんな先に行ってしまった。
私はまだここにいる。


迷宮を抜けたはずだった。
生ぬるい空気を振り払い、飢えた獣たちの道へおどり出たと思っていた。
すべてが違う新しい舞台、この世界こそは私のものだと…
…しかし無知なまま、何も変わってはいなかった。
私はまだここにいる。

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